書籍紹介:「経済成長がすべてか?」 マーサ・ヌスバウム著
著者について:マーサ・ヌスバウム
書籍の内容について
今日の世界において、民主主義的市民精神のための教育になっていないという危機意識のもと書かれた本です。
著者自らが、この本がマニフェストだと宣言をしています。
代表的な理論として、人間におけるケイパビリティ・アプローチ(潜在能力の開花)があります。
ヌスバウムは、人間の尊厳を守るために最低限必要なものは、すべての国の政府が尊重すべき基本原理を支える「哲学」を提供することだと提唱しています。
なにかを達成するための能力に重点を置くのではなく、真に人間的であることに関心をよせる のがケイパビリティ・アプローチ。尊厳をもった自由な存在として、他者と協力し、助け合いながら生きていくことを最低基準とした人間観を核にしています。
国家教育は、国の政策を実現するための人材のイメージに合わせて、その骨子と内容が決まっていきます。
世界中が、国の経済的利益のための教育(科学・工学・技術)に的を絞り、民主主義の土台となる「批判的問いかけ」「批判的思考」、ソクラテス的な議論ができる市民を育てることを無視していることに危機感を感じています。
このままでは自分の頭で考え、議論し、伝統を批判するクリエイティブな市民ではなく、有用な機械のような世代が生み出されることになります。「思慮深い市民」育成の社会的重要性を指摘しています。
記者がみる!令和哲学とつながるポイント
国民の尊厳を尊重する哲学がなく、国の利益のために機械の一部のような働きをさせる教育を国家教育としてきた点が、これまでの教育が人間の可能性をつぶしているウィルス学問という点とつながる。人間の尊厳を明確に宣言する令和哲学が日本のマニフェストとなるとき、すべての国の基本原理のモデルとなると思います。
泊 由美子
(Tomari Yumiko)
高校卒業後、国際交流を通して境界線ないつながりをつくるために哲学の必要性を感じ、令和哲学を学び始める。
日常と乖離しやすい哲学という分野を令和哲学を通して、日常で使える哲学を伝達中。
参考記事
https://www.amazon.co.jp/dp/4000227939
https://www.kyotoprize.org/laureates/martha_craven_nussbaum/
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