
世界の今を知る:ビジネスに哲学が必要な理由

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日本人が知らない哲学の力 なぜ哲学がビジネスに必要なのか
週刊ダイヤモンド 2019年05月31日掲載
この記事のポイント
<投資家や経営者も「哲学」を学んでいた>
●ジョージ・ソロス
投資家および慈善家であると同時に、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで哲学の博士号を得た哲学者。
若き日のソロスは、トレーダーの仕事は生活のためで、自由時間を哲学研究に充てていました。その中で考案した数々の哲学概念が、彼を世界的富豪にする原動力になったのです。
●ビルー・ミラー
ビル・ミラーは昨年、母校の一つである米ジョンズ・ホプキンズ大学の哲学科に、日本円で80億円を超えるお金を寄付しました。その理由は、自身に成功をもたらした「哲学で培われた分析力と心の在り方」への恩返しにあるという理由からでした。
●ペイパルの創業者 ピーター・ティール
彼は著名な哲学者、故ルネ・ジラールに師事し、哲学の学位を取得しました。
●その他
スラック創業者のスチュワート・バターフィールドや、米大統領候補指名争いでトランプと舌戦を繰り広げた、ヒューレット・パッカード元CEOのカーリー・フィオリーナも、過去のインタビューで哲学の有用性を説いています。

<哲学は想像以上に“稼げる”学問>
グーグルやアップルは最近、著名哲学者を「イン・ハウス・フィロソファー(顧問哲学者)」やフルタイムで雇用して話題を呼びました。
米国には、哲学に優秀な学生が集まり、
ビジネススクール入学の適性試験GMATで、哲学専攻の学生の成績は文系トップです。
米国の専攻別の学位取得者の年収調査で、哲学は、新卒時からミドルキャリアまでの年収中央値の伸び率が103.5%と50専攻中、数学と並んでトップででした。
その理由は、哲学の修得があらゆる学問の“ベース”をつくると同時に、ビジネスをはじめ答えのない課題に立ち向かう“スキル”を身に付けることができるからです。
哲学から得られる武器は二つ。すなわち応用性の高い思考力と、それを補完する2500年の歴史を持つ賢人たちの知恵なのです。この二つを合わせて初めて、哲学が実学としての武器になります。

記者の見解
哲学を習得した投資家や経営者の実績が客観的に記載されている記事で、哲学が実践的である証拠を表現してくれている記事でした。
心の時代に哲学は最高の武器になります。本質的思考、洞察力、コミュニケーション能力、論理力など、「考える力」を土台とするため、まさに心をフル活用できるジャンルがとも言えます。
この記事のライター

服部 綾子(Hattori Ayako)
NR AMERICA / Director
顧客満足・女性の消費者行動に興味を持ち、高校卒業後渡米。
米国大学にてマーケティングを専攻し、卒業後大手外資系消費財メーカーに入社。CRM(顧客関係構築)の分野で化粧品・日用品の販売促進や海外戦略に携わる。越境ECビジネスや貿易に携わる中で、多岐に渡るグローバルプロジェクトリーダーを経験するも、チームプレイを構築できない“判断基準・資本主義の限界”を感じ続ける。
その後、「nTech(認識技術)」と出会い、個人と組織が融合できる新しい組織構築モデル「トーラス組織」を実践しエリアマネージャーとして100人規模の組織の責任者を務める。 現在、サンフランシスコを起点に認識技術の北米展開に着手し、経営者やリーダーと新たな教育・経済のビジョン共有ができるプラットホームを構築。また、ハーバード大学教育心理学教授とともにDignity Educationを推進中。
ビジネス力・現実力を兼ね備えた、心のプロフェッショナルとして精力的に活動し、個人にとどまらず企業に至るまで幅広い問題解決コンサルタントとして活躍。
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