
世界の今を知る:哲学者ランキングTOP10
今回は、哲学と関連分野に関する文献の書誌情報を提供する世界最大のデータベースであるPhilosopher’s Indexのデータを用いて、行われた調査(AndrewChruckyさんの くらーきー(1998).Philosophical Influence :Statistically Determined)を紹介します。
Philosopher’s Indexは、1940年以降に出版されたジャーナルや書籍から,美学,価値論,教育哲学,認識論,倫理学,歴史哲学,言語哲学など,哲学に関するあらゆる分野の書誌情報を収録し、英語で出版されたものに限らず,スペイン語,ドイツ語,フランス語,ポーランド語など,現在では世界43ヶ国で出版された約570のジャーナルをカバーしています。
くらーきーChruckyさんは、Philosopher’s Indexに登場する哲学者を数え上げ、哲学の専門文献で言及される回数を10年毎に集計して、その趨勢をまとめました。
以下ではくらーきーChruckyさんが10位ごとに哲学者について描いた、哲学文献における出現数の推移グラフを見ていくことにします。
1−10位
1 カント(1724-1804) ドイツの哲学者。『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』。
2 アリストテレス(前384-前322) 古代で最大の学問体系を樹立した万学の祖。
3プラトン(前427-前347) イデア説、アカデメイアを創設。ソクラテスの弟子、アリストテレスの師。
4ヘーゲル(1770-1831) ドイツ観念論の完成者。『精神現象学』『エンチュクロペディー』。
5マルクス(1818-1883) ドイツの経済学者・哲学者・革命家。『共産党宣言』『資本論』。
6トマス・アクィナス(1225-1274) ドミニコ会士。聖人。スコラ哲学を大成。『神学大全』。
7ハイデガー(1889~1976) ドイツの哲学者。現象学的存在論。『存在と時間』『形而上学とは何か』『ニーチェ』。
8ウィトゲンシュタイン(1889-1951) ウィーン生まれ、イギリスで活躍した哲学者。『論理哲学論考』『哲学探究』。
9ヒューム(1711-1776) イギリスの哲学者・歴史家。『人性論』『英国史』。
10デカルト(1596-1650) フランスの哲学者・数学者・自然学者。近代哲学の父。『方法叙説』『哲学原理』『省察』。
続いて1位から10位までのくらーきーChruckyさんの解析です。
1965年頃以降、一位の位置に踊り出たのはカントです。
これに続くアリストテレスは、1950年〜65年ではトップを守っていましたが、その座を譲り渡しました。
ヘーゲル、マルクスは1980年代前半をピークを迎えますが、予想されるとおりその後のマルクスの凋落は著しいです。
(11-20位)にいたニーチェにも抜かれてしまっています。
哲学の父ともいえるプラトンは、Google Ngram Viewerでは数世紀に渡って1位を確保し、Philosopher’s Indexでも、近年順位を少し落としていますが確固たる地位を確保していいます。
なのに哲学者RPG ロールプレイングゲームでは、プラトンのプの字も出てきません。
トマス・アクィナスは、Philosopher’s Indexがはじまった1940年代には、専門論文で最も言及される哲学者でした。1970年代前半にピークを迎えましたが、最近でも世界8位の地位を保っています。
20世紀の間、ハイデガーとウィトゲンシュタインの言及数は上昇し続けました。ハイデガーは、最近では3位の位置まで登ってきています。
以上哲学者10位までの解析でした。
令和時代になり、未来には、令和哲学もTOP10に入りますが、令和哲学カフェは、その先駆けになると思います。
以上世界の今をしる、哲学者ランキングTOP10でした。
ありがとうございました。
参考記事
プロが選んだ20世紀に最も言及された100人の哲学者、ランキングとその盛者必衰をグラフにした 読書猿Classic: between / beyond readers
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