【第91回10月1日分】「特異点」ディスカバリー部門 エントリー


令和哲学
AWARD

特異点ディスカバリー部門

Mikari Shiota

塩田 みかりさん

今日の特異点

「200才まで生き、200兆のお金と、
いつでも語り合える200人の友人を持ち、
1分で200回縄跳びが飛べるほど健康な状態だとしても、
人間は幸せを感じられません。」

「だからこそ人には哲学が必要です。」

このような冒頭からスタートした【ニーチェと令和哲学】シリーズの最終回。
今回は、私にとってかなり印象に残る回となりました。

この感動を特異点で整理するならば、
その一点は『ニーチェの涙』ではないかと考えました。

どうしてその結論に至ったのか、下記にまとめました。

◆ニーチェの【永劫回帰】◆

キリスト教的な概念では
どんなに現実が苦しくても神に救いを求めれば
天国で永遠に生きられるとされています。

ですがニーチェはこれに対し警鐘を鳴らしています。
『今の自分の行動は、たとえ生まれ変わったとしても何度も繰り返す』とし、
これを永劫回帰と呼んでいます。

彼が伝えたかったことは
今の現状から目を背け、ただ神の救いを求め
未来に天国で生きる道を期待するような
そんな愚かな生き方をするな、ということかと思います。

◆令和哲学の【瓶鳥】◆

このニーチェの論理に対して令和哲学では
瓶鳥(瓶の内の鳥)の例えを出して解説をしています。

瓶を宇宙空間として見たら
その瓶の内にいる鳥は「宇宙空間の内にいる私たち」とみることができます。

ニーチェの永劫回帰をこの瓶鳥の例えで表現すると
たとえ肉体が死んだとしても、
永遠にこの瓶の内である宇宙空間に止まったままで
瓶の外には出れないことを意味しています。

つまり同じ瓶の内にいる状態を繰り返し、
そこから自由になることができないということです。

◆今ここ完全観察できる感覚を身につけること◆

瓶の内から自由になるためには
瓶の外に出る必要があります。

この「瓶の外から瓶鳥を観察できるポジション」
つまり宇宙全体を宇宙の外から認識できるようになったとき
完全観察ができる感覚を身につけることができます。

あえて神という概念を用いるとしたら
この完全観察ができる感覚を身につけたときに
神がなぜこの宇宙を創造したのか?
創造しなければいけなかったのか?

その真意がわかるようになります。

◆特異点【ニーチェの涙】◆

その神の意思がわかったときに
人間の本来の素晴らしさに初めて出会うことができます。

神が待ち望んで生まれたのが人間です。

『あなた自身の運命を愛してほしい』と説いたニーチェは
人間があるべき本来の尊厳性を訴えていたのです。

『神という概念に依存し
神の下に人間を置いて
神に支配された人間になるな。

本来の人間は
そんなちっぽけな存在ではなく
大自由に自分の運命を選択できるのだ。』

神を追い求め、そこに対する疑念と向き合い
神の意思を理解したニーチェだからこそ
神という概念を覆したかったのだと思います。

『人間がこんな閉ざされた存在であっていいはずがない!』

…そんな痛切なニーチェの涙の叫びがあったように感じ
私は胸が詰まりました。

◆これからの私たちが向かう未来◆

ニーチェの涙を感じた私は
それと同時に、令和哲学者であるNoh先生の涙も感じました。

もし自分が完全観察できるポジションに立てたとしても
それを伝承できず
人間の可能性が閉ざされたまま
社会を変えることができないままでは
叫び出したいくらい、耐え難いことです。

それくらい、瓶の外からみた人間一人一人は
とても愛しく尊い存在です。

完全観察の感覚を常に持ち続けているNoh先生だからこそ
25年間かけて人間の可能性を叫び続けることが出来たのだろうな…と
少しだけその胸の内を感じることができたように思います。

今、時代は混沌さを極めています。
この時代の大転換のタイミングで、私たちはなにを選択するべきなのか。

正しい判断をするためにも、
私は哲学の重要性を感じています。

実は私は大学時代に哲学を専攻し、学んでいました。

ですが学べば学ぶほどに泥沼にはまっていくような感覚があり
やればやるほど分からなくなっていき
自分の理解力のなさに落ち込むばかりでした。

この令和哲学も
正直、始めのうちは難解に感じる箇所がとても多かったです。

ですが粘り強く令和哲学カフェに参加し続けることで理解の蓄積が起き
今回のシリーズで一気に理解が繋がるようになりました。
こんなにシンプルに全てを解析されていたのか…と感動しています。

答えの出ない学問が哲学だと言われていますが、
この哲学が理解でき、自分のものになる感動を
多くの人に味わってもらい、共有しあいたいと深く思っています。

ニーチェをはじめ、先人の方たちが
変えたくても変えきれなかった涙の叫びを全て抱きしめて
この社会に変革を起こせるように勝負する、
その選択をし続けていきたいと改めて決意することができました。

これを読んでくださったみなさんとともに
美しい社会を創っていけたら嬉しく思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

令和哲学アワードの詳細はこちらより

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