世界の今を知るヨーロッパの哲学大国「フランス」の必須科目『哲学』


フランスには「バカロレア」という試験があります。

バカロレアは大学に進学するためには絶対必要な条件です。従って、フランスの高校生で大学進学を考えている生徒はとにかくこのバカロレア取得に向けて必死に勉強します。

試験はなんと7日間に及び、それぞれの科目の試験時間は3〜4時間です。

科目の中で、注目されるのが「哲学」で、試験の初日の最初の科目です。日本でイメージすると、センター試験の初日の一番最初の科目が「哲学」と思っていただければ、重要視されているのが分かります。また、文系・理系共に哲学は必須科目です。この哲学の問題は非常に難解なため、毎年試験翌日にはニュースで出題内容が取り上げられます。

そのため、フランスの高校生は試験対策を行い、小論文の問題は、自由な発想で書かれた回答が高得点を取るのではなく、導入・展開・結論という議論の型にはめ込まれたものが評価されます。
出題された3問の中から1問を選択し、4時間の試験時間で論述します。(哲学だけで4時間は、すごいですよね)

例えば、過去は以下のような出題がありました。
1、時間から逃れることは可能か
2、芸術作品の説明は何に役立つのか
3、ヘーゲル(Hegel)著『法の哲学』からの抜粋を解説せよ

哲学科目は問題を分析した上で論述し、反対意見も踏まえた上で、自分の意見の正当性を主張するという、民主主義社会の市民として必要な資質を育む教育に基づいています。いかにフランスの教育が哲学を重視しているのか、子供の頃から哲学を取り入れるフランスの教育についてのご紹介でした。

この記事のライター

服部 綾子(Hattori Ayako)
NR AMERICA / Director

顧客満足・女性の消費者行動に興味を持ち、高校卒業後渡米。

米国大学にてマーケティングを専攻し、卒業後大手外資系消費財メーカーに入社。CRM(顧客関係構築)の分野で化粧品・日用品の販売促進や海外戦略に携わる。越境ECビジネスや貿易に携わる中で、多岐に渡るグローバルプロジェクトリーダーを経験するも、チームプレイを構築できない“判断基準・資本主義の限界”を感じ続ける。

その後、「nTech(認識技術)」と出会い、個人と組織が融合できる新しい組織構築モデル「トーラス組織」を実践しエリアマネージャーとして100人規模の組織の責任者を務める。 現在、サンフランシスコを起点に認識技術の北米展開に着手し、経営者やリーダーと新たな教育・経済のビジョン共有ができるプラットホームを構築。また、ハーバード大学教育心理学教授とともにDignity Educationを推進中。

ビジネス力・現実力を兼ね備えた、心のプロフェッショナルとして精力的に活動し、個人にとどまらず企業に至るまで幅広い問題解決コンサルタントとして活躍。

●参考記事
https://chiik.jp/articles/Ztmpg
https://info.ensemblefr.com/news-429.html
雑誌:週間ダイヤモンド 2019年6月8日号p.86-87

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